研究 技術 計画
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27 巻, 1_2 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 小林 信一
    原稿種別: 本文
    2013 年 27 巻 1_2 号 p. 2-3
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    The environmental problems and oil crisis, which attracted public attention in the 1970s, undermined optimism about progress in technology and economy. In response to this trend, the "appropriate technology" was proposed as a way of creating technologies that fit to the diverse natural, social and historical conditions involved in problems to be addressed. While this concept has not been fully successful because of the complexity of those conditions, the advance in information and communication technology has changed the situation by making a huge number of combinatorial calculations feasible. It is now easier to take into account the individuality, interdependence and history of the entities involved in a problem, thus reviving the idea of appropriate technology. The "smart grid" is an exemplary result of this approach. It is expected that reevaluation of the appropriate technology makes it possible to solve local problems by applying knowledge from all over the world.
  • 太田 欣吾
    原稿種別: 本文
    2013 年 27 巻 1_2 号 p. 4-16
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    近年,技術変化が急速に進んでいるため,企業では内部での技術創出と外部からの技術獲得を可能にする必要性に迫られている。そのため企業は技術獲得や創出のための能力を学習せざるを得なくなっている。従来は支配的な技術が一つだけ存在し,技術転換によって旧来の技術が新技術に駆逐されることを繰り返すことで技術進歩を遂げると考えられていたが,内燃機関動力(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン)と蓄電池によるモータの回転動力を組み合わせた動力源を使うハイブリッド技術のように,様々な技術が融合することにより,従来それぞれの個性を有していた技術が新しい技術に向けて収斂していく技術統合が行われるようになった。本論文ではデンソーのEFIを事例として技術統合プロセスについて考察した。ここでのケースにおける技術統合プロセスは以下の3段階及び各段階間を埋める飛躍で成り立っている。(1)基幹部品の技術導入(コア技術の取得) (2)周辺部品の内製化(周辺技術の拡大) (3)システム化(システム製品の提供) コア技術の取得と周辺技術の拡大間の飛躍は,中間技術の採用により実現され,次の周辺技術の拡大とシステム製品提供間の飛躍は,メカニクスとエレクトロニクスの知識やノウハウを一元管理する部署を組織したことで知識やノウハウの統合が起こり,それをもとにメカニクス技術とエレクトロニクス技術の技術統合を実現し,メカトロニクス技術を確立したことでなされたことが分かった。
  • 小久保 欣哉
    原稿種別: 本文
    2013 年 27 巻 1_2 号 p. 17-26
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    本稿は,定量的な分析を通じて国内大手の製薬企業におけるイノベーションの決定要因を明らかにすることを目的としている。分析には,国内大手製薬企業を対象に質問票調査回答を得た43社の結果データを用いた。分析の結果,1) (1)バイオ医薬品保有企業,(2)年間売上高200億円以上の製品保有企業とも,専有可能性を高める活動として特許による保護と利益確保に取り組んでおり,その成果を享受していること。2)バイオ医薬品保有企業群は技術機会を図っている一方,年間売上高200億円以上の製品保有企業群では,技術機会が図りきれていない可能性があること。3)国内大手製薬企業が,バイオ医薬品を保有,年間売上高200億円以上の製品を保有する上で,特に大学(医学部・薬学部)が影響していることから,オープン・イノベーションモデルが適合する可能性があることがわかった。本稿には,検討すべき多くの課題が依然として残されている。第1に,定量分析としては,サンプル数が43社に留まっていること。第2に本稿でのイノベーションとの因果関係については推定の域を出ないということ。第3に,国内大手製薬企業におけるオープン・イノベーションモデル適合の可能性を述べるに留まり,十分に議論されていないということが挙げられる。
  • 鈴木 修
    原稿種別: 本文
    2013 年 27 巻 1_2 号 p. 27-38
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    医薬品開発に関する長期データを題材に,新製品開発における「活用(exploitation)」的な組織学習と「探索(exploration)」的な組織学習への資源配分バランスと,企業の継続的な成長との関係に関する実証分析を行った。「活用」的な組織学習への資源配分を高めるほど企業の短期的な安定が担保される一方で,「探索」的な組織学習への資源配分を高めるほど企業の長期的な適応が実現されることが示された。さらに,総パイプライン(開発中の新製品候補)の約5割を「活用」的なパイプラインに充てることで,企業の継続的な成長に欠かせない短期的な安定と長期的な適応を同程度に実現できることも示された。本研究の結果,「活用」的な組織学習と,「探索」的な組織学習とを並行して実践できる組織に関する研究の今後の研究課題について,いくつかの示唆が得られた。すなわち,「活用」と「探索」との両立が組織の継続的な成長につながる論理の一端が明らかになった。また従来,組織学習の文脈で考察されてきた「活用」と「探索」の両立と企業戦略との接点も示された。
  • 永井 明彦, 中川 裕揮, 伊藤 孝行, 田辺 孝二
    原稿種別: 本文
    2013 年 27 巻 1_2 号 p. 39-56
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    1990年頃より世界では特定した用途での市場標準を目指した特定用途向けLSI(ASSP)を製品化しているファブレス半導体ベンチャーが大きく躍進を遂げている。一方で日本の半導体メーカを見ると,大手半導体メーカはASSPへの取り組みが充分とは言えず,他方でファブレス半導体ベンチャーでもASSPの成功例が少ない。このような状況で,事例のファブレス半導体ベンチャーは,特定ユーザ企業及び半導体商社と協調し,ASSPが市場標準となって,大きな事業収益に結びついていた。そこで本稿は日本のファブレス半導体ベンチャーが抱える課題を明らかにした上で,事例の成功要因を分析し,ファブレス半導体ベンチャーが市場参入する機会を得るための1つの方法を提案する。
  • 橋本 健, 藤村 修三
    原稿種別: 本文
    2013 年 27 巻 1_2 号 p. 57-72
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    本稿は「発明者数の動的変化」を代用指標として,研究初期から事業段階までのR&D資源投入を定量記述し企業R&Dマネジメントを分析する新手法を検討する。キヤノンとセイコーエプソンのインクジェット技術の公開特許(出願年:1976-2005)を調査し,出願年毎に重複を除いた発明者数の30年間の動的変化を求めた。発明者数の構造分析によって,年間発明者数と定常的にR&Dに従事している同年の技術者数が厳密には合致しないことを確認した(「1/p」発明者効果)。一方,発明者数の動的変化と既存文献記載の2社の主要な新技術R&D活動とを対比した結果,動的変化がそれぞれの新IJ技術R&D活動と合理的に対応付けできることを見出した。次いで,ある特定期間の動的変化を線形近似し,直線の傾きをその特定期間のR&D資源投入マネジメントの定量代用指標とする手法で2社の違いを分析した結果,2社の技術原理選択の差(TIJ vs. PIJ)がR&Dマネジメントの差に影響を与えていることが示唆された。また発明者数の動的変化と5年後の製品出荷量の動的変化に高い相関があることを確認し,発明者数の動的変化がイノベーションのアウトプットの先行指標としても有効な可能性を見出した。
  • 糸久 正人
    原稿種別: 本文
    2013 年 27 巻 1_2 号 p. 73-83
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    コンセンサス標準におけるユーザーとサプライヤーの関係を考えた場合,どこまで技術をオープンにするのかという標準の範囲をめぐり,両者の間には構造的なコンフリクトが存在する。しかし,コンセンサス標準に関する既存研究では,参加企業間の互恵性は前提として扱われており,コンフリクトを乗り越えてコンセンサスが形成されるプロセスに関しては十分に検討されてこなかった。そこで,本稿では,このようなコンフリクトがあるにも関わらず,コンセンサスが達成された自動車産業における車載ソフトウェエアの標準「AUTOSAR」に着目し,探索的なケーススタディ分析を行った。その結果,ユーザーに有利となる標準を制定しても,サプライヤーは新興国ユーザー,補完市場での事業機会も考慮に入れることで,両者の間には互恵性が期待され.標準に対する合意が得られる可能性を示す。
  • 陳 俊甫, 余 錦華, 橋本 洋志, 淺間 一
    原稿種別: 本文
    2013 年 27 巻 1_2 号 p. 84-98
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    サービスのグローバル展開に向けて,展開先の文化を熟知し,その社会に根を下ろす努力が必要である。これまでの既存研究では,サービスにおける文化的影響の重要性が強調されたものの,その多くは,サービス標準化を進めていく際の注意点として,文化的影響を捉えていたものであり,文化を競争資源として捉えたものではなかった。本稿は,サービス産業のグローバル展開に向けた予備的調査・考察である。ここでは,中国のホテル接遇サービスに関する現地調査を基に,中国の特徴として,(1)多様な接客の方法の共存と認識の共有,(2)ホテル接遇サービスの淡泊さ,(3)文化を基軸とした非日常性感覚の追求を抽出し,その結果を踏まえた上で,文化的影響によるサービス差別化の創出に向けた実践的示唆を提示した。
  • 岡本 信司
    原稿種別: 本文
    2013 年 27 巻 1_2 号 p. 99-114
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    地域科学技術政策は我が国の重要政策課題として,これまで第3期科学技術基本計画等に基づき関係府省及び地方公共団体で関連施策が推進され,2009年9月の政権交代後には新成長戦略及び第4期科学技術基本計画において,地域における国立大学法人等大学の機能強化が推進戦略の一つとして位置付けられている。このような地域科学技術政策における大学への大きな期待に対して,国立大学法人については,運営費交付金・人件費削減,大学間格差等の問題提起もなされている。本稿では,地域科学技術政策において重要な役割を担っている国立大学法人に着目して,地域科学技術関連施策の中核である産学官連携施策が開始された1980年代から国立大学法人化を経て,これまでの地域科学技術政策での国立大学に関連する施策及び機能の変遷と国立大学法人化の課題について,産学官連携をはじめとした「大学開放機能」の観点から分析することにより,地域科学技術政策における国立大学法人の機能強化に関する課題と展望について考察した。その結果,今後目指すべき産学官連携と「大学開放機能」は「グローカル対応戦略的多角機能連携型産学官連携:総合的大学開放機能新展開期」であり,強化すべき大学機能としては,地域活性化に資する産学官連携支援人材等幅広い人材育成機能,地域に密着した個性と特色ある研究機能,地域連携における戦略的中核拠点機能であるとの示唆が得られた。
  • 湯川 抗
    原稿種別: 本文
    2013 年 27 巻 1_2 号 p. 115-128
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
    大企業といえども社内のR&Dだけで新たなイノベーションを生み出すのは困難になりつつある。ベンチャーは大企業にとって,新たなイノベーション創出のためには欠かせないパートナーであろう。本稿は我が国大手ICT企業によるICTベンチャーとの関係をCVC投資の観点から考察し,大手ICT企業が,どの程度ベンチャーと関わっているのかを定量的に明らかにする。具体的には,上場ICTベンチャー129社に関し,これらの企業が上場を果たす過程でどのような企業から投資を受けてきたのかを目論見書に基づいて構築されたデータベースから分析した。分析結果からは,理論的にはイノベーション活動のパートナーと考えられるICTベンチャーに対し,我が国大手ICT企業は積極的に関わってきたとはいえないことが示唆される。ICTベンチャーに対する投資額の半数以上は,ICTビジネスを自らの主要な事業領域としない企業によって行われたものであり,CVC投資を行っている企業の4割以上は,こうした企業のうちでも非上場の企業である。ICT企業のCVC投資のみをみると,大手ICT企業はそれなりの存在感を示しているものの,これは非常に積極的な少数の企業に牽引されていると捉えることができる。我が国大手ICT企業は,CVC投資に積極的なグローバル企業と比較すると,少なくとも我が国ICTベンチャーを積極的に活用しようとしているとはいいがたい。
  • 原稿種別: 文献目録等
    2013 年 27 巻 1_2 号 p. 129-132
    発行日: 2013/01/31
    公開日: 2017/10/21
    ジャーナル フリー
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