中国上海市で開かれた第11回中国(上海)国際技術輸出入交易会で、東華大学の先進繊維材料国家重点実験室が開発した「月面土壌からその場でバサルト繊維を製造するモジュール装置」が展示された。中国青年報が伝えた。
交易会には、世界約20カ国・地域から1000社を超えるテクノロジー企業が参加した。
東華大学教授で博士課程指導教員を務める同実験室メンバーの汪慶衛氏は「研究チームは、月探査機『嫦娥5号』が持ち帰った実際の月の土壌500ミリグラムを入手し、その成分と特性を基に模擬月面土壌を作製した。これを用いて、1400~1500℃の高温で溶融し、真空牽引技術によって、直径わずか10~20マイクロメートル(人間の髪の毛の約5分の1~6分の1)の超極細繊維を作り出すことに成功した。さらに、無人・真空・低重力という月面の特殊な環境を想定し、月面土壌から繊維を自動で成形できる装置を開発した」と説明した。
開発過程で東華大学のチームは3つの技術的ブレイクスルーを実現した。まず、エネルギー利用の面では、月面に豊富に存在する太陽エネルギーを活用し、直流電力の特性を活かした模擬月壌繊維の作製に初めて成功した。次に、装置素材の選定や高温溶融体の取り扱い、伝熱における未知の課題を克服し、初めて真空環境下での繊維引き伸ばしを実現した。最後に、月面土壌繊維を自動成形する工程も初めて試みられた。開発された装置には自動牽引機構が備えられており、温度、溶融物の粘度、牽引速度などを精密に制御することで、自動成形が可能になるという。
(画像提供:人民網)